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伊藤君子トリオジャズライブの報告

2022/07/02 Special Jazz @かねも】からあっという間に2ヶ月も経ってしまいました。

コンサートの様子のアップが遅れてしまい皆様にもライターにも申し訳ないことをしてしまいました。

再び読んでみると、2ヶ月前のライブが鮮明に蘇って来ます。皆様もその時の暖かくて熱い思いを甦らせてくださいね。(原文のままなので季節は夏です)


あっという間に梅雨が明け、突然の真夏の暑さに驚きを隠せない7月の始まり。

今回、ベーゼンドルファー[ヨハン・シュトラウスモデル]Model.225が迎えるゲストは、日本が誇るボーカリスト伊藤君子さんのトリオ。若手のp.林正樹さん、b.須川崇志さんとの化学反応を楽しみに、猛暑の中多くに聴衆が開場前から集まり、ホール1Fの喫茶室も賑わった。


会場の壁には、松崎九鬼さんの作品が展示された。大胆な発想から生まれた作品の数々を多くの方が興味深く鑑賞していた。日常を忘れアートと対話する空間がそこにはあった。


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LIVEは、ピアノとウッドベースのデュオからスタート。


Birds Flew By

外の暑気をすっかり忘れるほど爽やかなp.のサウンドに、b.の小気味良いピチカートがアクセントを効かせる。今からほんのひととき、現実からトリップした大人のJazz timeのはじまりにピッタリな心躍る1曲。


1曲目を聴いて期待感の高まった会場に、颯爽と現れたのは鮮やかなブルーのドレスを身に纏ったvo.伊藤君子さん。笑顔の美しい方だ。


Dindi

林さんに奏でるベーゼンのやわらかな響きと共に、伊藤さんの伸びやかな歌声が聴く者の心を遥か彼方まで連れて行ってくれる。途中、須川さんがチェロを弾く。囁くように繊細な音色から、曲の盛り上がりを底から支える豊かな響きへと変化していく。大人の美しさを感じさせる曲に仕上がっていた。


My Favorite Things

伊藤さんの歌声にはp.b.が自由に羽ばたける包容力がある。互いのアドリブを楽しむ笑顔に思わずこちらも頬が緩む。とても長く聴かせた伸びやかで美しい声は圧巻で、多くの人々が認める伊藤さんの実力を感じた。


途中、MCを随所に挟む伊藤さん。会場の温度など聴衆への気配りと聴衆との会話を楽しみながら進行する姿に、歴の長いファンが多いことも納得した。


A Song For You

しっとりとした曲調にピッタリなp.の音色に乗せて、大人の深みを感じさせる伊藤さんの歌声。想いのこもった歌声に、林さんの奏でるベーゼンの音色は景色を添えて、須川さんのb.が安定感の与える。曲名のごとく、ギフトのように感じた1曲だった。


Follow Me

前半のラストは、アランフェス協奏曲をアレンジしたナンバー。

クラシックの演奏を思わせるp.の豊かな響き。ベーゼンが持つ包容力が発揮され、伊藤さんの情感あふれる歌声をあたたかく包み込んだ。


後半です。


What Is Thing Called Love?

恋ってこんなもんかしら、と歌った曲、との伊藤さんの解説を聴いてからの鑑賞。のびやかな歌声と、心のドキドキを表すかのようなp.b.の軽やかな刻みが心地よい。この3人で演奏できることが嬉しい、と伊藤さん。


But Beautiful

続いては、恋はしないよりしたほうがいい、という内容の曲とのこと。同じ恋を題材とした曲ながら、この曲は穏やかな曲調。伊藤さんのしっとりとした歌声は、様々な経験をしてきた大人の女性が語りかけるかのよう。その後に続くb.の高音のピチカートは、それを聞いた若者がそれでもさ...と返す様に聞こえ、vo.がそれを諭すように更に語りかける。恋について、世代を超えて語り合う美しい姿がそこに見えた。


My Funny Valentine

言わずと知れた名曲。様々なヴォーカリストが歌っているこの曲だが、今日のように説得力の中にほのかにかわいらしさを感じる演奏は初めてだ。この曲の新たな愉しみを知った気がする。


On A Clear Day

ラテン調の明るいサウンドに、聴衆も自然と体が左右に揺れる。b.がピチカートで奏でるアドリブは気持ちの昂りを表すかのような躍動感があり、それを受け、それまでよりも更にのびやかに歌う伊藤さんの高音のロングトーンは最高に気持ちよかった。


Imagine

昨今の出来事から、いろいろな想いを重ねてしまうこの曲。伊藤さんの歌声はとてもあたたかく、人生いろんなことがあるよね、辛いよね、でも大丈夫だよ、と語りかけながら抱きしめられているようで、思わず涙がこぼれた。


鳴り止まない拍手の中、アンコールにと美空ひばりさんの名曲が告げられ、会場からは喜びの声が上がった。


♪愛燦燦

ひばりさんの顔がふと浮かぶ歌い方。あぁ、懐かしい。この曲の美しい歌詞をしっかりと噛みしめることのできる伊藤さんの歌い方、慈愛に満ちた歌声は心に沁みわたり、自然と涙が溢れた。人生って嬉しいものですね。

今回のコンサートは、伊藤さんの愛情の深さを感じ、その歌声を心地よく包みこみ彩りを加えてくれたp.b.のおかげもあって、なんだかんだあっても人生って楽しいもんだなと改めて感じさせてくれるものだった。


また、会場をアートな空間へと変えてくれた松崎九鬼さんの作品には、形に縛られない自由な発想があった。Jazzにもアドリブがあって、あそびもある。このコラボレーションは、見る者聴く者に、もっともっと自由に表現していい、もっともっと思うように生きてみたらいい、と語りかけ、背中を押してくれた気がした。


さぁ、暑い暑い夏がやってくる。なんとなく感じ続けている閉塞感を吹き飛ばそう。ココロは自由に解き放ち、カラリと晴れた夏空のように明るく過ごそう。そして忘れないでほしい。芸術はいつだって私たちのそばにあり、心に寄り添い、明るい未来へと導いてくれることを。








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