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柳澤利佳ソプラノコンサート

更新日:1月10日

 寒波の影響で冷えこみの強い日が続いた掛川だったが、コンサート当日は風も落ち着き、暖かな日差しが来場者を迎えた。当日はクリスマス。会場には大きなツリーが飾られ、スタッフも赤いサンタの帽子をかぶってクリスマスムードを盛り上げた。柳澤さんは美しい刺繍が施された落ち着いた色合いのドレス、伴奏を務める杉山園実さんはボルドーのスッキリとしたドレスで登場。


 今回は、前後半合わせて15曲からなるプログラムより、数曲を抜粋して紹介する。

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 前半はお茶に縁のあるホールにちなみ、四季の流れに沿って日本の唱歌を楽しむプログラム。特に花にまつわる曲を多く選曲したそうだ。各曲の解説や曲にまつわるエピソードが披露され、作詞家や作曲家がどんな思いで書いたか、どんな情景を思い浮かべて作ったかを味わいながら楽しむことができた。

 ベーゼンの深くあたたかい音色が生み出す、日本の歌曲特有のしっとりとした雰囲気が会場を包み込む中、『宵待草』でコンサートは始まった。柳澤さんの歌唱は歌詞が聴き取りやすく、情景豊かな楽曲とともに日本語の美しさも噛み締めながら聴き入った。また、ベーゼンの含みの多い響きに、歌詞に隠れた様々な思いが交差する。

♪北山冬一郎/團伊玖磨:紫陽花

 「ピアノが上手くないと歌えない曲なんです。」と、この曲の伴奏の難しさを語った柳澤さん。たしかに、歌曲の伴奏というよりピアノ曲のようにそれだけでも十分に聴き応えのある曲ではあったが、お二人の息がピッタリと合い難しさなど全く感じさせない演奏だった。

♪堀内幸枝/中田喜直:サルビア

 前半のプログラムではゆったり聴かせる曲が多い中、芝居のセリフのように歌われたこの曲。オペラにも多く出演されている柳澤さんのご経験が存分に活かされ、歌声に迫りくるものを感じた。

♪山田耕筰:ペチカ

杉山さんのピアノソロでの演奏。夜空の星のきらめきや舞い散る雪の結晶を表すかのような高音の動きが全体に散りばめられ、冬ならではの自然の美しさを感じさせる。また中音域は暖炉の暖かな炎が思い浮かぶ。ベーゼンの音域ごとの音色の特色が活かされ、とても美しい作品となっていた。

 『落葉松』では、柳澤さんがお父様のゴルフに付き添い、落葉松の見える所を訪れた際、お父様からこの曲をリクエストされ歌ったというエピソードも紹介され、会場は和やかな空気に包まれた。

 後半は、柳澤さんは会場がパッと華やぐイエローのドレスに着替え、西洋の歌曲とピアノソロを楽しむプログラム。「みなさんが、あまり聞かないなというアヴェ・マリアを選んでみました。」と、L.ルッティ、P.マスカーニ作曲の2作品を披露。

L.ルッティ:アヴェ・マリア

 柳澤さんが藝大受験の際に自由曲で歌ったという思い入れのある曲。何年も経っているのに全部覚えている、と懐かしみながら歌われた。

P.マスカーニ:アヴェ・マリア

 マスカーニの歌曲『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲のメロディーに歌詞が付けられている。歌詞には何度かpietaという言葉が登場する。柳澤さんによれば、イタリア語の「助けて」に値する言葉の一つではあるが、神や人を超えた存在に対して願いや助けを乞う時の用いられる表現とのこと。有名なあの旋律がピアノで美しく奏でられる中、聖母マリアへの強い思いは、柳澤さんによって力強くかつ丁寧に歌い上げられた。

杉山さんのピアノ・ソロもいくつか演奏された。

♪シューベルト:即興曲 Op.90-3

 演奏前に「今日はウィーンのピアノ、ベーゼンドルファーが弾けるので、ウィーンの作曲家の曲を弾きたかった。私の中では祈りを感じる曲なので、クリスマスにも合うんじゃないかなと思って選曲した。」と語った杉山さん。美しいアルペジオが続く中で、人の心の揺れ動く様がベーゼンの音域ごとに印象の異なる音色で表現され、繰り返される主題に、尊い祈りを感じた。

 アンコールでは、会場全体で『きよしこの夜』を歌ったり、お二人もサンタの帽子を被ったり、クリスマスらしい演出がされた。また、昨今の情勢を憂い、平和を願う歌も披露され聴衆の心を熱くさせた。


 かわいらしい話し声と、スケールの大きな歌声とのギャップが印象的な柳澤さん。多彩な歌声と、高校の同級生でもある杉山さんとの息のあった演奏で国内外の名曲を楽しむプログラムは、まるでたくさんの箱に入ったプレゼントを開けるかのようなワクワク感と充足感を与えてくれた。二人の美しいサンタさんからのクリスマスプレゼントをもらい、会場は割れんばかりの拍手とたくさんの笑顔で満たされた。

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 2022年、試行錯誤を繰り返しながらもコンサートを継続的に開催できたことに、スタッフ一同、感謝の気持ちでいっぱいです。ご来場くださり様々なご協力をいただいたお客様、素晴らしい演奏で私達の心を満たしてくれた演奏家の皆様、魅力的な響きの会場を提供してくださる茶の蔵かねも様、ありがとうございました。

 今後も、音楽の素晴らしさを演奏家と観客が分かちあう場、また、新しい音楽との出会いを楽しむ場、明日への活力をチャージできる場となるようなコンサートを企画してまいります。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 2023年は、1/21 JAZZからスタートです!

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